Ankiの設定おすすめ 2026|英単語・英語学習の最適

プログラマーやエンジニアの英語勉強は、英語ドキュメントを読むリーディング 1 点突破が最短です。私は immit のプロダクトデザイナーで、米国企業で英語ドキュメントに毎日囲まれていました。夫はアメリカ人のエンジニアで、いまは日本語を勉強しています。プログラマーの英語勉強は、会話より先に英語ドキュメントの読解から始めるのが効率的です。エンジニアが英語ドキュメントを 1 日 15 分読み、英単語を引いて復習する。この記事はプログラマー向けに、エンジニアの英語勉強を支えるリーディング術を 5 ステップで解説します。
Anki の基本設定と英単語学習のメリット
設定の話に入る前に、Anki の基本を 1 分で整理します。デフォルトのまま使うと何が起きるかを理解しておくと、各設定をなぜ変えるのかが腑に落ちます。
Anki とは何か。設定を触る前に押さえる基本
Anki は SRS(Spaced Repetition System、間隔反復システム)を使う単語帳アプリです。覚えたカードを忘れる直前のタイミングで再出題することで、暗記の効率を最大化します。世界中の学習者に使われていて、英単語学習の定番ツールの一つです。
Anki の構造は、デッキ・カード・ノートの 3 階層です。デッキはカードの入れ物、カードは 1 問 1 答の単位、ノートはカードの元データです。設定の多くはこのデッキ単位(Anki では「デッキオプション」)で調整します。
デフォルト設定のままだと、新規カードが 1 日 20 枚ずつ供給され、復習が雪だるま式に増えます。受験生のように毎日 2〜3 時間取れる人には適切ですが、社会人が英単語を覚える用途だと、数週間で復習カードが数百枚に膨らんで挫折しやすくなります。
私が米国企業で英文ドキュメントを毎日読んでいた頃、知らない単語を Anki に放り込んでいたのですが、デフォルト設定のまま 1 ヶ月でカードが回らなくなりました。設定を英単語学習向けに調整して、ようやく続くようになった経験があります。
英単語学習に Anki 設定を最適化するメリット
設定を最適化するメリットは、大きく 3 つあります。
1 つ目は、1 日の復習数が現実的な範囲に収まることです。新規カードの上限を学習量に合わせると、忙しい日でも 10 分で終わる量に保てます。
2 つ目は、忘却する直前の最適なタイミングで復習が組まれることです。Anki 23.10 からデフォルト設定になった FSRS アルゴリズムを有効化すると、復習間隔が一人ひとりの記憶の忘却曲線に合わせて自動計算されます。
3 つ目は、カード作成と入力の手間が減ることです。カードタイプを英単語用に揃えておくと、新しい単語を追加するたびに迷う時間がなくなります。設定は一度決めれば長く効く投資です。
英単語学習に効く Anki おすすめ設定 8 個
ここが本記事のコアです。8 個の設定を、英単語学習の効率に直接効く順で解説します。すべてデッキオプション(対象デッキの歯車アイコンから開く設定画面)か、全体設定で調整できます。
1. 新規カードの 1 日上限を学習量に合わせる
最初に変えるべき設定は、新規カードの 1 日上限(New cards/day)です。デフォルトは 20 枚ですが、英単語学習では 10 枚前後から始めるのがおすすめです。
新規カードを 1 枚追加すると、その後 1 週間で 4〜5 回の復習が発生します。つまり 1 日 20 枚の新規は、数日後に 1 日 80〜100 回の復習を生みます。この回答数が積み上がると、復習が終わらなくなって学習自体をやめてしまいます。
社会人で 1 日 15 分しか取れない場合、新規 5〜10 枚が現実的な数です。慣れて時間が増えてきたら少しずつ上限を上げます。最初から多く設定して挫折するより、続く量から始めるほうが結果的に多くの英単語を覚えられます。
2. 新規カードの表示順を学習スタイルで決める
新規カードの表示順(New card gather order と sort order)も英単語学習で効く設定です。追加した順に出すか、ランダムに出すかを選べます。
自分で 1 枚ずつ作る自作デッキなら、追加順(おすすめ)が自然です。リーディング中に出会った順で単語が出るので、文脈の記憶と結びつきやすくなります。
ダウンロードした共有デッキや市販の単語帳デッキを使う場合は、ランダム表示も選択肢です。アルファベット順や教材の章順だと、似た単語が固まって混乱しやすいためです。表示順は学習効率に直結する地味だが重要な設定です。
3. 復習カードの 1 日上限で負債を防ぐ
復習カードの 1 日上限(Maximum reviews/day)はデフォルトで 200 です。英単語学習では、ここをむやみに下げない設定がおすすめです。
復習上限を低くすると、その日にやるべき復習がスキップされ、翌日に繰り越されます。これが「復習負債」の正体で、放置すると数百枚の山になります。新規カードの上限で入口を絞り、復習はデフォルトの 200 のまま全部こなす形が、負債を溜めない基本です。
もしすでに復習が溜まってしまった場合は、新規を一時的に 0 にして、復習だけを毎日こなして消化します。設定で入口を止めてから出口を片付けるのがコツです。
4. 学習ステップを英単語向けに短く設定する
学習ステップ(Learning steps)は、新規カードが「覚えた」状態になるまでの最初の出題間隔です。デフォルトは「1m 10m」で、これは英単語学習にもおおむね適しています。
英単語のような短い情報は、長い学習ステップを設定する必要がありません。「1m 10m」のまま、つまり 1 分後と 10 分後にもう一度出して、正解できたら通常の復習サイクルに入る形で十分です。
ステップを「1m 10m 1d」のように増やすと、1 枚あたりの初期回答数が増えて学習が重くなります。英単語は短期の学習ステップを短く保ち、その後の復習間隔を FSRS に任せるのが効率的な暗記につながります。
5. FSRS を有効化して復習間隔を自動最適化する
8 個の中で最も効果が大きい設定が、FSRS の有効化です。FSRS(Free Spaced Repetition Scheduler)は、Anki 23.10 から default になった復習スケジューリングのアルゴリズムです。
従来の SM-2 アルゴリズムは固定の計算式で復習間隔を決めますが、FSRS は自分の回答履歴から忘却曲線を推定し、一人ひとりに合った間隔を自動計算します。実測で復習回数が平均 20〜30% 減り、同じ記憶定着を保ったまま学習量が軽くなります。
デッキオプションの FSRS 欄で有効化し、目標保持率(desired retention)を 0.9(90%)に設定するのが標準です。回答データが 1,000 件ほど溜まったら「パラメータを最適化」を実行すると、精度がさらに上がります。FSRS の詳しい設定と実測値は、別記事の Anki 復習間隔 設定の最適解 — FSRS で英単語暗記を 30% 楽にする で解説しています。
6. カードタイプと入力フィールドを英単語用に整える
カードタイプ(ノートタイプ)の選択も、英単語学習の効率を左右する設定です。Anki には Basic、Basic (and reversed card)、Cloze などの種類があります。
英単語を覚えるなら、Basic(表に英単語、裏に意味)を基本にします。表からも裏からも問われたい場合は Basic (and reversed card) を選ぶと、英語から意味、意味から英語の双方向カードが 1 回の入力で 2 枚作成されます。
入力フィールドは、単語・意味・例文・音声の 4 つに絞るのがおすすめです。フィールドを増やしすぎるとカード作成の手間が増えて続きません。例文フィールドにコロケーション(mitigate the risk のような頻出の組み合わせ)を 1 つ入れておくと、単語の使い方まで一緒に覚えられます。
7. 音声とフォント表示を読みやすく調整する
音声フィールドの設定は、英単語学習で効果が高い調整です。AwesomeTTS のようなアドオンを使うと、単語フィールドから英語音声を自動生成してカードに付けられます。発音と綴りが噛み合わない単語ほど、音声があると記憶に残ります。
フォントとカードの表示も整えておくと、毎日の復習のストレスが減ります。カードテンプレートの編集画面で、単語のフォントサイズを大きめ(40px 前後)、例文を小さめにすると、視線の流れが自然になります。
英単語学習では日本語学習と違ってふりがな表示が不要なので、表示はシンプルに保ちます。背景色や文字色を自分の目に優しい配色にしておくと、長時間の復習でも疲れにくくなります。
8. AnkiWeb 同期とバックアップを最初に設定する
見落とされがちですが、最初にやるべき設定が AnkiWeb 同期です。AnkiWeb のアカウントを作って同期を有効にすると、PC・スマホ・Web 版でカードと学習履歴が共有されます。
同期しておけば、PC で作った英単語カードを通勤中にスマホで復習できます。AnkiDroid(Android)や AnkiMobile(iOS)とも同じアカウントで繋がります。複数端末で学習する人には必須の設定です。
バックアップも忘れず確認します。Anki は自動でローカルバックアップを取りますが、設定画面で保持する数を増やしておくと安心です。数ヶ月かけて育てた単語デッキを誤操作で失うリスクを、設定一つで下げられます。
Anki のおすすめ設定をデッキ別に使い分ける
ここまでの 8 設定は基本の型ですが、使うデッキの種類によって最適な値が少し変わります。自作デッキと共有デッキで、おすすめの設定が違う点を整理します。
ダウンロードした共有デッキ(市販の単語帳をデッキ化したものなど)は、収録数が数千枚と多いのが特徴です。新規カードの 1 日上限を 5〜10 枚に絞らないと、復習があっという間に溜まります。表示順はランダムか頻度順にして、似た単語が固まらないようにします。
自作デッキは、リーディング中に出会った単語を 1 枚ずつ追加していく形です。新規上限はやや多めでも回りますし、表示順は追加順が自然です。共有デッキの落とし穴と自作デッキの育て方は、別記事の Anki共有デッキは本当におすすめ?続きにくい理由と代替学習法 で詳しく扱っています。
どちらのデッキでも、FSRS と新規カード上限の 2 つは共通で効きます。まずこの 2 設定を整えてから、デッキの性格に応じて表示順とステップを微調整する流れが、英単語学習の効率を安定させます。
Anki 設定を変えても続かない人へ。リーディングから単語が育つ選択肢
Anki の設定を細かく調整すると、英単語の暗記効率は確実に上がります。私自身、設定を煮詰めて学習が回るようになった経験があるので、この記事の 8 設定は実際に効きます。
一方で、設定そのものに時間が溶けてしまう段階の人もいます。デッキオプションを開いては数字をいじり、カードタイプを作り直し、気づくと英単語を覚える時間より設定の時間が長くなっている。Anki のセットアップより、英単語そのものを覚える時間を増やしたい人です。
私たちが作っている immit は、そういった方向けの選択肢です。Chrome 拡張をインストールすると、ブラウザのリーディング中に出会った英単語をホバーで引け、保存ボタン 1 つで SRS フラッシュカードに追加されます。設定不要、アカウント不要、無料で始められます。
Anki と同じ間隔反復の仕組みを内蔵していて、復習間隔は自動で組まれます。新規カードの上限や学習ステップを自分で設定する必要はありません。Pro 版(月 9 ドル)で複数端末同期とバックアップが付きますが、英単語学習の基本機能は無料版だけで完結します。
よくある質問
Anki のおすすめの新規カード枚数は 1 日何枚ですか
英単語学習では 1 日 5〜10 枚から始めるのがおすすめです。新規カード 1 枚は 1 週間で 4〜5 回の復習を生むため、20 枚のデフォルトのままだと数日で復習が回らなくなります。慣れて時間が取れるようになってから上限を上げます。
FSRS と SM-2、英単語学習にはどちらの設定がおすすめですか
FSRS がおすすめです。Anki 23.10 以降は FSRS が default で、回答履歴から自分の忘却曲線を推定して復習間隔を自動最適化します。実測で復習回数が平均 20〜30% 減ります。SM-2 に強いこだわりがなければ FSRS を有効化して構いません。
Anki の学習ステップ(learning steps)は何分がおすすめですか
英単語学習ではデフォルトの「1m 10m」のままで十分です。短い情報なので長い学習ステップは不要です。ステップを増やすと 1 枚あたりの初期回答数が増えて学習が重くなるため、ステップは短く保ち、その後の復習間隔を FSRS に任せるのが効率的です。
Anki の設定をデフォルトに戻すにはどうすればいいですか
デッキオプション画面の右上メニューから、設定グループを初期値に戻せます。FSRS の有効・無効や新規カード上限など、変更した項目だけを個別に戻すことも可能です。設定を試行錯誤する時は、変更前の値をメモしておくと安全です。
復習が溜まりすぎた時の設定での対処法はありますか
新規カードの 1 日上限を一時的に 0 にして、復習だけを毎日こなして消化します。入口を止めてから出口を片付けるのが基本です。それでも追いつかない場合は、デッキを優先度別に分け、重要な英単語デッキから先に回す設定にします。
Anki 本体の基本的な使い方と最低限必要な設定は、別記事の Anki 完全ガイド 2026 — 英単語学習に必要な 5 つの設定 で解説しています。本記事の 8 設定はそのガイドの応用編で、基本設定を整えてから読むと効果が分かりやすくなります。