Ankiの基本的な使い方を徹底解説!効率的な暗記方法を伝授

Anki は世界中の英語学習者に愛用されている定番の暗記アプリです。ただし機能が多く、Anki の使い方を覚えること自体が初心者にとって大きなハードルで、英語学習に入る前に挫折してしまう人もよく見かけます。
私自身、英単語学習をもっと手軽にする immit を作るにあたって Anki を本格的に使い込みましたが、コツを掴むまでは設定画面で何度も迷子になりました。それでも、最低限の使い方さえ押さえれば Anki は強力な学習パートナーになります。
この記事では、Anki 初心者がつまずきやすいポイントを避けながら基本的な使い方を身につけるための、5 つの最小設定と使い方をスクショ付きで解説します。2026 年 5 月時点(Anki 23.10)に対応した内容です。
そもそも Anki とは?仕組みと使い方の前提を 1 分で理解
Anki は、暗記したい情報を「カード」として登録し、忘れる頃に自動で復習日を提示してくれる暗記アプリです。手作りの単語カードをスマホやPCで管理する、デジタル版の単語帳と考えるとイメージしやすいです。料金は PC(Windows / Mac / Linux)と Android が無料、iPhone 版のみ買い切り 4,000 円という構成です。
暗記仕組みの中心は「忘却曲線」と「間隔反復」
Anki の頭脳になっているのは、ドイツの心理学者ヘルマン・エビングハウスが提唱した「忘却曲線」です。これは「人は覚えたことの約 7 割を 24 時間で忘れる」という記憶の減衰をグラフにしたものです。
この忘却曲線を逆手に取り、忘れかけた頃に復習が来るようにスケジュールを組む学習法を「間隔反復」と呼びます。英語では Spaced Repetition System、略して SRS です。Anki は SRS を広く実装している暗記アプリで、紙の単語カードを毎日めくる方式と比べると、復習タイミングが自動化されるぶん効率の向上が期待できます。
Anki が英単語の勉強で「最強」と呼ばれる理由
Anki は語学学習だけでなく、医学領域でも長く活用されてきました。海外の医学生が USMLE(米国医師国家試験)の暗記に使う「AnKing」という巨大デッキはあまりに有名で、USMLE 受験者の間で Anki は事実上の標準ツールです。YouTube にも医学生による Anki の使い方を解説した動画が大量に公開されています。
英語学習者の間でも、Anki は単語の暗記が苦手な人ほど効果を実感しやすい最強クラスのツールとされています。間隔反復のアルゴリズムが「忘れる直前」を狙って復習を出すので、毎日少しずつでも積み重なる構造になっているからです。
紙のノートでは追跡しきれない大量の単語を効率よく管理できる点も、Anki が最強と呼ばれる理由の 1 つです。資格試験対策、デジタル単語帳としての日々の活用、画像つきの穴埋め暗記など、使い方の幅も広いです。
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私が感じた Anki の難しさ|初心者がつまずく 3 つの壁
immit を作るために Anki を毎日使い込んでいた時期、私が個人的につまずいたのは次の 3 つの場面でした。
1 つ目は、設定項目の多さです。 Anki の設定画面を開くと「デッキオプション」「カード設定」「アドオン(後付けの拡張機能)」「同期」など見慣れない項目がずらりと並びます。実際に必要なのは数個だけですが、どれが大事か見極める前に圧倒されて手が止まりがちです。
2 つ目は、共有デッキの罠です。 ネットには他人が作った単語のセット(デッキ)が大量に公開されていて、初心者は「自作するより手っ取り早い」と飛びつきがちです。自分の興味と合わないカードを毎日復習するのは想像以上に苦痛で、結局続きません。
3 つ目は、復習カードの累積です。 新規カードを 1 日 50 枚ずつ追加すると、3 週間後には毎日の復習が 200 枚を超えて、机に向かう時間がただの作業になります。これが Anki に挫折するもっとも多いパターンです。
これら 3 つは、最初に正しい設定を入れておくと大幅に軽減できます。次の章から順に見ていきます。
Anki の使い方|まずは無料でインストール
Anki の料金は環境ごとに違うので、最初に整理しておきます。PC 版と Android 版と AnkiWeb は無料、iPhone 版のみ買い切り 4,000 円です。
PC版Anki(Windows / Mac / Linux)のダウンロード方法|日本語に設定
公式サイト apps.ankiweb.net にアクセスして、自分のパソコンに合ったインストーラーをダウンロードします。ファイルを開いて画面の指示に従うだけで、5 分ほどでインストールが完了します。
初回起動時に言語選択の画面が出るので、必ず「Japanese」を選びます。ここを英語のまま進めてしまうと、後の設定がぐっと難しくなります。
Android 版 Ankiアプリ(無料)のインストール
Android スマホで使う場合は、Google Play で「AnkiDroid」と検索してインストールします。AnkiDroid は有志のコミュニティが作っている互換アプリで、無料で使えます。本家 Anki と AnkiWeb 経由の同期も基本的には可能です(一部の機能で差異が生じる場合があります)。

iPhone 版 Ankiアプリ(有料)について
iPhone で使う場合は App Store で「AnkiMobile」と検索すると、買い切り 4,000 円(約 24.99 USD)のアプリが見つかります。AnkiMobile と同等の機能を持つ無料の互換アプリは iPhone には存在しないため、有料版を購入するか、AnkiWeb のブラウザ版を使うかの 2 択です。抵抗があれば、まず PC か お持ちの方はAndroid で 1 ヶ月試してから購入する流れでも問題ありません。
## Anki 初心者が最初にやるべき 5 つのおすすめ設定
Anki をインストールしたら、英単語の勉強を始める前にこの 5 つだけ済ませます。最初の 1 ヶ月でつまずきやすい場面を、設定段階で抑えるのが目的です。
設定 1: 新規カード上限を 1 日 10〜20 枚に絞る
Anki は初期状態だと新規カードが多めに出るので、これを 10〜20 枚に絞るのが続けるための最重要ポイントです。
デッキ名の右の歯車アイコン経由で設定を開きオプションをクリック。「1 日の新規カード」を 20 以下に変更します。(スクショ参照)
### 設定 2: FSRS(新アルゴリズム)を有効化する
Anki の復習日を計算する「アルゴリズム」は、2023 年 11 月の Anki 23.10 から FSRS という新方式が選べるようになりました。
長く使われてきた SM-2 という旧アルゴリズムと比べて、同じ定着率でも復習回数が 20〜30% 減ります。毎日の負担が 2〜3 割軽くなる計算です。
「設定 > デッキオプション」を開き、画面下部の「FSRS を使用」のスイッチをオンにすれば完了です。
### 設定 3: AnkiWeb 同期を設定する
AnkiWeb は Anki 公式の無料クラウド同期サービスです。アカウントを 1 つ作っておくと、パソコンで作ったカードがそのままスマホでも復習できます。
ankiweb.net で無料アカウントを作り、パソコンとスマホの両方の Anki にログインしたら、右上の同期ボタンを押すだけでつながります。
### 設定 4: AwesomeTTS(音声アドオン)を入れる
「アドオン」とは Anki に機能を後付けする小さなプログラムのことで、Chrome 拡張機能と同じイメージです。
英単語学習者にまず入れたいのが AwesomeTTS というアドオンで、入力した英単語の音声を自動生成してカードに添付してくれます。発音学習まで一体化でき、リスニングも同時に鍛えられます。
「ツール > アドオン > 新たにアドオンを取得」を開き、AwesomeTTS の ID(公式サイトで配布)を貼り付けてインストールします。
### 設定 5: 定着率の目標は初期設定の 90% のまま
FSRS を有効化すると「定着率の目標」(復習日に思い出せるカードの割合)を自分で決められますが、最初は初期設定の 90% のまま運用するのが結局いちばん続きやすいです。これより高くすると復習回数が一気に増え、低くすると覚えたカードがすぐ薄れます。

これで 5 つの設定は完了です。
Anki カードの使い方|英単語カードを 1 枚作ってみる
設定が終わったら、実際にカードを作ってみます。Anki のカードは「表面」と「裏面」に分かれており、英単語学習では次の構成が定番です。
- 表面: 英単語(例: promote)
- 裏面: 日本語訳、例文、発音
ホーム画面の「追加」ボタンから、カード追加画面が開きます。
例文には、教科書の例文より「自分が記事や動画で実際に見かけた英文」を使うほうが記憶に残ります。文脈ごと覚えるイメージです。
共有デッキを使うかどうか
ankiweb.net/shared には TOEIC や英検向けの単語デッキが大量に公開されていて、無料でダウンロードできます。最初の 1 週間、Anki の操作に慣れる目的で使うのは有効です。ただし長期的には、自分が「これを覚えたい」と思った瞬間に作ったカードのほうが定着率が高い傾向があります。
詳しい比較は別記事「Anki 共有デッキは使わない方がいい場合|代替案」にまとめます。
Anki の復習|1 日 15 分から始める現実的な使い方
カードができたら、あとは毎日復習するだけです。Anki が「今日の復習対象」を自動で出してくれるので、出てきた順に答えます。
表面を見て頭の中で答えを思い浮かべ、「答えを表示」をタップすると裏面が見えると同時に、画面下に「忘れた / 難しい / 普通 / 簡単」の 4 つのボタンが並びます。
このボタンの選択によって、Anki が次の復習日を自動で決めてくれます。
- もう一度: 同じカードを 10 分後にもう一度
- 難しい: 短い間隔(数分後)で再復習
- 正解: 通常の間隔(数十分後〜数週間後)
- 簡単: 長めの間隔(数日後先)
新規 10 枚+復習 30〜50 枚で、1 日 15〜20 分が目安です。これを 30 日続けると 300〜600 単語が長期記憶に入ります。
復習をサボった日があっても、翌日に溜まった分をこなせば追いつきます。FSRS が遅れを考慮してスケジュールを再計算してくれるので、毎日きっちりこなせなくても問題ありません。
詳しい設定の追い込みは「Anki 復習間隔の設定|FSRS で英単語暗記を 30% 楽にする」で扱います。
それでも Anki が続かない人へ|immit という選択肢
「設定だけで疲れた」と感じた方もいると思います。それこそが Anki の最大の課題で、私が immit を作るきっかけになった部分でもあります。
immit は、Web で英文を読んでいるとき、知らない単語の上にカーソルを合わせると意味がポップアップで表示され、ワンクリックで暗記カードとして保存できる Chrome 拡張機能です。Anki と同じ間隔反復を内蔵し、設定なしで暗記学習を始められます。
immit はカードの作成から復習までを 1 つに統合し、Anki のセットアップ作業をまるごと置き換える設計です。Anki の設定で疲れた方や、まずは軽いスタートを切りたい方に向いています。
無料で始められ、アカウント登録も不要です。Chrome 拡張機能(無料) からインストールできます。詳しくは immit 公式サイト(日本語) からご確認ください。
よくある質問
Anki は無料で使えますか?
パソコン版(Windows / Mac / Linux)、Android(AnkiDroid)、Web 版(AnkiWeb)は無料です。iPhone 版(AnkiMobile)のみ買い切り 4,000 円です。
iPhone 版の AnkiMobile だけ有料なのはなぜ?
AnkiMobile は本家 Anki の開発者本人が作っているアプリで、その売上が Anki 全体の開発費を支えています。Android にある無料の互換アプリ(AnkiDroid)にあたるものが iPhone には存在しないため、有料の本家を買うのが唯一の選択肢になっています。
共有デッキと自作カード、どちらが良いですか?
最初の 1 週間は共有デッキで慣れるのもありです。長期的には、自分が興味を持って作ったカードのほうが続きやすく、定着率も高い傾向があります。
FSRS と SM-2 は具体的に何が違いますか?
SM-2 は全ユーザーに同じ計算式を当てはめる旧アルゴリズム。FSRS は機械学習で個人ごとに最適な間隔を算出し、同じ定着率でも復習回数が 20〜30% 減ります。
Anki が続かなかった場合はどうすればいいですか?
設定に疲れてしまうタイプの方には、設定なしで始められる immit のようなツールがおすすめです。学習を「頑張って続ける」から「自然と続いている」状態に持っていく工夫が結果的に大切です。